大ヒットした「世界でひとつだけの花」に微妙な違和感を感じていたのだが、その理由が今日ようやくわかった。いくらそれぞれの花を咲かせればいい、と言っても、店先で人間は花を選り好みする。そして花は過酷な生存競争を生き抜いてきたからそこにあるのだ。
そう考えたとき、この歌詞の底の浅さが見えてくる。歌詞を否定はしない。それはそうだろう。ただ、いいとこ取りなのだ。華やかな、キレイなところしか歌っていないのだ。
きっと閉店時間となった花屋の店先には、誰にも選ばれなかった花がバケツの底にしおれ、たとえ懸命に花を咲かせたとしても、売り物にならなくなった花はゴミとして捨てられるだろう。そこには厳然として「勝ち組」と「負け組」が存在する。

だがエディ・タウンゼントはこういう。
「僕ね、ボクシング以外何にも出来ないけど、一つだけ得意なことがあるよ。それはね、しおれた花をしゃんとさせることよ。」
肝に刻め。
劇団イング