いまから10年以上前になるだろうか、「覚醒のネットワーク」(上田 紀行著 地方・小出版流通センター)という本を読んだ。その中に「構造的暴力」という言葉が出てくる。それがヨハン・ガルトゥングの言葉と知ったのはしばらく後だった。上田氏はその後「癒しの時代をひらく」を著し、いわゆる「癒し」ブームを拓いた。ガルトゥング氏の研究は平和学という形をとり「超越法」と呼ばれる和解法に結実した。紛争conflictを解決する方法として考えられたこの超越法を、葛藤・対立conflictの解決法として使うというこの「あの人と和解する」。カウンセリングと生徒指導と教育と国際紛争浅田次郎が統合されたような感がある。これまでに構築されたものの隙間と歪みを埋め新たな地平に導く書。