台風で落ちたリンゴや、火山灰をかぶったキャベツを、「被災地支援」なんて銘打って格安で販売していたりする。生産者も売れないよりは売れた方がいいだろうし、消費者も安けりゃそれにこしたことはない。また、「かわいそうな人を助けることができた」と心情的に満足することもできる。こういったニュースを聞く度に考える。経済、特に現代社会のように発達した経済ってのはすごいものだな、と。遠くの生産者と消費者、それも特定の状況にある二者を巧みに結びつける。なおかつ両者が納得する。
ところで、本当にこれは「素晴らしい」「美談」なのだろうか。幾重にも修飾された皮を剥がしてみれば、実体としては被災を理由に買い叩いているだけではないだろうか。途上国との不当な取引と同様、一見対等な契約関係に見えるようで、実はそうではない、そんな関係が隠されてはいないだろうか。これを「美談」とし、キャベツやリンゴを買うことで「いいことをした」と思うのは、少なくとも半分は誤りであろう。