ある日、家族で出かけた帰りのことである。もう薄暗くなった峠道を家に向かって急いでいた。珍しく他には一台もクルマは走っていない。その時、ぼそっと真悟が呟いた。「あ、クルマが」。「?、クルマはいないよ」と応じたのだが、しばらく走ると「またクルマがいた」と言う。相変わらず周囲にはクルマは走っていない。「クルマがいたの?」と聞くと「うん、黒いクルマ」だという。「黒いクルマ?」。だんだん気味が悪くなってきた。もしかしたら子供には見えるのだろうか。その後も真悟は「また黒いクルマがいた〜」と叫ぶ。「止まってた?」と聞くと「ううん、走ってる。」という。次の瞬間、戦慄の事実が明らかになった。その黒いクルマの正体とは、これだったのだ。