縄文人の由来は多様?歯の特徴、東海と関東で大違い

均質一様な集団とみられがちな縄文人にも、固有な特徴を持つ集団が地域ごとに群居していた可能性が高いことが、京都大大学院の橋本裕子・研究員(自然人類学)の調査で浮かび上がった。

縄文時代の9つの遺跡から発掘された482人分の歯の特徴を分析した結果、東海地方と関東地方では大きな違いがあったことが判明した。

長崎市内で開かれている日本人類学会で6日発表された。

橋本研究員が調査したのは、縄文晩期(紀元前1000年以降)の愛知県内の5遺跡と岡山県内の1遺跡、縄文後期(紀元前2000―1000年)の千葉県内の2遺跡と茨城県内の1遺跡の計9遺跡で見つかった人骨のうちの歯の部分。

比較したのは、前歯の裏のくぼみの有無、奥歯の形など計15項目で、遺跡が異なっても同じ地域で出土した歯の形状は酷似していたが、地域が異なると、特徴の違いが大きくなる傾向が顕著だった。
橋本研究員によると、調査対象の遺跡は摂取食物が異ならない、いずれも沿岸部地域で、歯の形状の違いは、食べ物の違いに由来するものではなく、遺伝的な違いを反映していると考えられるという。
縄文時代の人骨を巡っては、これまでも頭骨の特徴から地域差の存在が指摘されてきたとはいえ、「縄文人骨」とひとくくりにされる傾向が強かった。
橋本研究員は「各地の縄文人は、多様な由来を持つ可能性がある」と話している。
(読売新聞) - 11月7日3時9分更新